TEKNA




2005
イースター号


今年も復活祭が近づいてまいりました。MJMリターニーの皆様いかがお過ごしですか。毎年、現代の私達にとって、キリストの復活の意味を考えると思いますが、人それぞれの思いがあると思います。今回は、関本肇司祭にお願いして、先生の考える復活についてのメッセージをいただきました。私達一人一人が何によって命を得、良く生きられるかを考える時のヒントにしていただけるのではないかと思います。(担当・西牧)

 

ヘブライ聖書のイースター   イザヤ26:2−9,19

 イースターと言えば百合の花と卵と兎、そして福音書の復活物語を聞いて、ハレルヤを歌って終わる多くの人、いや教会暦にしたがって太齋四旬節を灰の水曜日から懺悔と祈祷と断食によって過ごし、特に聖なる三日間を古式ゆかしく典礼を守る人、そのどちらでもない人に向かって、わたしは旧約聖書(ヘブライ聖書)の復活について語り、同時に復活の意味について話したいと思う。第二バチカン公会議直後、1963年以後、世界中の学者たちが研究と対話を通して原案を作り、800名以上の専門家の意見を聞き、討議した結果、1969年に世界の教会が主日の聖書日課の第一日課にヘブライ聖書を選び、第一日課を当日の福音書に呼応するように纏め上げ、現行の聖書日課が生まれた。わたしはMJMの宣教者として奉仕した三年間に、ニューヨークならでは学べないユダヤ教に入り込んだ結果、ヘブライ聖書の深さを改めて発見して、定年帰国後はヘブライ聖書にこだわり続けている。イースターについて語れと言うことなので選ばれたイザヤ書から学んでみたい。その前に、そもそもイースターとはどんな日か、と問われてイエスの甦りの日だと答えてみても正直、自他共に納得できないものが残る。ご存知の遠藤周作の生涯かけてのイエス探求にはかれの心情の深い模索があった。今、これらのことを延々と述べることはできないが、「イエスの生涯」「キリストの誕生」そして「深い河」を読まれた方は多い。彼は以前から諸宗教は根底において共通したものがあると主張していたが、「深い河」創作日記の中で、たまたまジョン・ヒックの「宗教多元主義」に出会い、これこそ自分の探り求めていたものだと興奮し、病床にもかかわらず圧倒されて読みふけったと書いている。ヒックは「世界の各宗教は同じ神を、違った道、文化、象徴で求めている」と述べ、「キリスト教はイエスをキリストとする神学をやめ、イエスの受肉の問題と三位一体の問題にメスを入れるべきだ」と主張する聖書学者である。

 さてイエスの生涯については、四つの福音書が語られているが、ナザレの村の貧しい農民イエスが、社会の谷間に住む庶民、とくに貧者、病人、障害者たちのパートナーとして生きることを通して、やがて一つの運動が生まれ、それがユダヤ人の体制社会、また当時のローマ帝国支配者から否定され、遂には十字架上に苦悶の叫びを残して死を遂げる。そこには弟子たちの不甲斐ないイエスへの裏切りがあり、やがてそれらを振り返る弟子たちの中に、彼らの慣れ親しんだヘブライ聖書の預言者や詩篇の言葉が疼きだし、とくにイザヤ書の「苦しみの僕の歌」の中にイエスその人を見出すようになる。イエスの弟子たちはすべて、ヘブライ聖書に子供のときから育てられたユダヤ人である。イエスの生涯を追憶するなかで、ヘブライ聖書を通してイエスの存在の背後に神の息吹を感じ取り、神の命へと導かれるのである。

 ここに選ばれた聖書は復活日の第一日課の聖書の一つであるが、聖書学的に言うと、イザヤ書24章から27章は、全世界に及ぶ神の訪れの未来的出来事が語られており、それらは時代的には紀元前数世紀にわたるイスラエルの苦難の歴史の所産である。

26:2 城門を開け、神に従い、信仰を守る民がはいれるように。

26:3 堅固な思いを、あなたは平和に守られる。あなたに信頼するゆえに、平和に。

26:4 どこまでも主に信頼せよ、主こそはとこしえの岩。

26:5 主は高い所に住まう者を引きおろし、築き上げられた都を打ち倒し、地に打倒して、塵に伏させる。

26:6 貧しい者の足がそれを踏みにじり、弱いものの足が踏みつけて行く。

26:7 神に従う者の行く道は平らです。あなたは神に従う者の道をまっすぐにされる。

26:8 主よ、あなたの裁きによって定められた道を歩み、わたしたちはあなたを待ち望みます。あなたの御名を呼び、たたえることは、わたしたちの魂の願いです。

26:9 わたしの魂は夜あなたを捜し、わたしの中で霊はあなたを捜し求めますあなたの裁きが地に行われるとき、世界に住む人々は正しさを学ぶでしょう。

26:19 あなたの死者が命を得、わたしのしかばねが立ち上がりますように。塵の中に住まう者よ、目を覚ませ、喜び歌え。あなたの送られる露は光の露。あなたは死霊の地にそれを降らせられます。

ここには終末論的な表現が満ちているが、特に19節は復活への期待と賛歌である。8節と9節の「裁き」はヘブライ語のミシュパ−ト、神の秩序である。神の秩序が行われるところに神との出会い、復活がある。旧約聖書続編のマカバイ書には紀元前2世紀のアンティオコス4世によるユダヤ教への残酷な迫害があり、これに反発して立った敬虔な者たちが次々に殺される宗教迫害の時代に復活信仰が生まれ、それはまた苦難のヨブ記にも示されている。それはまた、イエスの弟子たちがイエスの十字架の苦悶と死をめぐって自らが感じた痛切な宗教体験でもあった。復活の季節を通してわれわれはマルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの書くそれぞれの復活の記事を聞くが、それらは各自の体験と解釈と視点で書かれ、誰も復活の出来事の具体性や、その瞬間については書いてはいない。それは書けないからである。なぜなら、復活は時間と空間とを超えた世界の出来事だからである。復活はイエスの生涯に続く歴史上のことではない。遠藤が言うように、復活は十字架から三日目などというのは問題ではない。半年後でも、一年後でもいい。ちなみにイエスの十字架は期限26年から36年のなかの一日だとイエス研究者は言っている(イエスーあるユダヤ人貧農の革命的生涯:クロッサン)。復活は言葉で言い表せぬ弟子たちの宗教体験である。復活もまたわれわれ一人一人の宗教体験とするには、それぞれの宗教性の成熟が求められている。それは知識ではないし理屈でもない。パスカルは「神と会うのは心情である」といっている。

人間は自分を生かしてくれるもの、包んでくれる存在、何時も共にいてくれる同伴者、自分の理解者を求めている、別な言葉で言えば、実存の深み、命そのものとしての「神」を待望しているのである。それを無意識の宗教性だと遠藤は言う。この宗教性が神を見出すとき、それが彼の解放者、理解者、同伴者、救い主になる。それは諸宗教の根底において同じである。宗教多元主義が受け入れられる時代になった。パスカルが神と会うのは心情であるという表現は重大である。復活を蘇生であると考えてはならない。死んだものが生き返ることが復活ではない。復活とは宗教性の世界のことであって、それは各自が自分を支え生かしてくれる大きな命に戻ることである。だからわれわれは、復活日の特祷で「すべての命と力の源である神よ」と呼びかけ、また「わたしたちを命によみがえらせてください」と祈るのである。われわれの宗教体験の中で「命と力の源である神」と出会い、感じ取ることができるように、思いと心を整えたいものである。 2005年  関本 肇

 

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景山恭子さんからのお知らせ

一部の方にはすでにお知らせしております、4月2日(土)銀座王子ホールのコンサートの件でお願いと提案です。
趙国良氏は二胡の名演奏家で中国から日本へ帰化された現在は福岡在住の方です。
MJM
リタニーの丸山敬子さんのご紹介で昨年、カーネーギーの小ホールで
リサイタルを開くお手伝いを致しました。素晴らしい演奏家です。
近年、日本の胡弓ブームでテレビなどで活躍している人たちの演奏は、大変失礼ながら
趙氏の前には比べものにならないと思います。中国の古代の曲、本人の編曲による日本の銘歌、ぜひ聞いていただきたいと思います。
席に限りがありますので本当の良さを求めておられる方々にお薦めしたいと思いMJMのリタニーの皆様が属しておられる教会の方には4000円の入場料を3500円で
求めていただき、500円は教会への献金とする提案をさせていただくことにしました。
ご興味のある方はご連絡いただければちらしを東京のアシスタントの福原からお手元にお送りします。 

《チケットお申し込み・お問い合わせ先》
H&K
 Arts 東京事務所:福原
E-mail :  office@handkarts-tokyo.com

 





2004年度 MJM東京 会計報告

 

20041231

金額(円)

金額(円)

1.1

前年度繰越金

68,927

1.1

前年度雑費(通信費)

459

12.31

会費(29名)

 46,500

1.1

テクナ発送費(クリスマス)

4,670

12.31

寄付

    500

1.20

1月例会会場費

  2,000

 

 

 

4.8

2月例会会場費

 2,000

 

 

 

4.8

テクナ発送費(イースター)

  5,914

 

 

 

7.12

4月例会会場費

  2,000

 

 

 

4.21

関本先生の会会場費

  2,000

 

 

 

6.8

5月例会会場費

  2,000

 

 

 

7.12

6月例会会場費

2,000 

 

 

 

8.13

テクナ発送費(総会報告)

  5,300

 

 

 

9.30

押田様お悔やみとして

5,300 

 

 

  

12.7

N.Y.MJM献金(広告費)

 5,760

 

 

 

12.21

12月例会会場費

2,000

 

 

 

12.27

テクナ発送費(クリスマス)

  4,475

 

 

 

12.31

次年度繰越

 70,049

 

115,927

 

115,927

※例会では、会計から2000円(会場費)を補助し、参加者から参加費500円をいただいております。合計金額をその都度例会にて各教会に献金(または講師へのお礼)とさせていただきました。

 

 

今年度もご協力いただきまして、ありがとうございました。

会計でご不明な点がありましたら、若生までお問い合わせください。